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闇見神社

kurami




  祭  神:沙本之大闇見戸賣命
       菅原道眞 天照大神
       建御名方命 底筒男命 中筒男命 八坂刀賣神 火軻遇突智神 別雷神 國懸神
       日前神 玉依姫 大山咋神 加茂健角見命 表筒男命 應神天皇 神功皇后 
  説  明:境内案内板を転載します。
      「若狭国神名帳ニ『正五位闇見明神』トアリ、若狭国誌ニ『成願寺ニ在リ、今天神
       ト称ス。弘化三丙午年七月三日深夜民家ヨリ出火ノ際、当社類焼社殿書類悉ク焼
       失、現本殿ハ安政四年再建セルモノナリ。伴信友著『神社私考』ニ第九代開化天
       皇ノ皇子日子坐王(若狭耳別ノ祖)ノ妃ニシテ室毘古王(現美浜町宮代鎮座 弥
       美神社ノ御祭神)ノ御母・沙本之大闇見戸売ヲ祀ル』トアリ、現鳥居ハ、旧藩主
       酒井忠勝公の奉献ナリ。
       明治四十二年七月二十三日、左記神社ノ合祀を許可セラル
       諏訪神社 元上野諏訪森ニ鎮座
       愛宕神社 元成願寺大羽日に鎮座
       住吉神社 元倉見庄法庵ニ鎮座
       日吉神社 元白屋山王ニ鎮座
       加茂神社 元白屋堂田ニ鎮座
       熊野神社 元白屋風呂ノ上ニ鎮座」
  住  所:福井県三方郡三方町成願寺字手洗水12−7
  電話番号:
  ひとこと:延喜式神名帳に記載された、旧郷社です。

       さて、ご祭神「沙本之大闇見戸賣命」とはどのような女神なのでしょうか?
       案内板によれば、日子坐王の妃であり、室毘古王の母である、となっています。

       古事記によれば、沙本之大闇見戸賣命は、建国勝戸売の娘であるとしています。

       そして、日子坐王と、沙本之大闇見戸賣命の子供は4人。
       沙本毘古(さほひこ)の王・袁耶本(おざほ)の王・沙本比売(さほひめ)の命・
       室毘古(むろびこ)の王となっています。

       そして、沙本比売の別名は、「佐波遅比売(さはじひめ)」。
       伊久米(垂仁)天皇の皇后様におなりになりました。
       ・・・とあります。

       日子坐王は、崇神天皇の時代、丹波の国に遣わされ、玖賀耳の御笠を討ったと、
       古事記には記されています。
      (ちなみに、日本書紀によれば、同天皇の時代丹波に使わされたのは、丹波道主命
       となってます。)

       同じ時期に、大毘古命を越の道へ、建沼河別命は東方に、(日本書紀によれば、
       加えて吉備津彦命を西の道へ)使わしたとなっており、この4名を、「四道将軍」
       と呼びます。

       言ってみれば、日子坐王は、「征夷大将軍」の一人だったわけですね。
       
       その大将軍の妻になったのが、この神社のご祭神。
       そして、その沙本之大闇見戸賣命の親は、建国勝戸売。

       この人物、男性か女性かわかりませんが、目を引くのは、「戸売」という文字。

       娘の沙本之大闇見戸賣命にも、「戸売」という文字がついています。
      「比売(ひめ)」と同じように。

       神武天皇が誅した、丹敷戸畔(にしきとべ)・名草戸畔(なくさとべ)。
       垂仁天皇の妻・山城の美女、綺戸辺(かにはたとべ)・苅幡戸辺(かりはたとべ)
       
       すべて、女性です。

       とすると、この、建国勝戸売も、女性ではないでしょうか?
       とすると、この一族は、「女系」であったのかもしれません。
       普通、○○の娘、と書く時は、その一家の首長の名前を書きますからね。
       しかも、「建国勝」とは、勇ましい名前じゃないですか。

       さて、この、日子坐王と沙本之大闇見戸売の子供達のうち、一番名前が知られて
       いるのは、沙本毘古・沙本比売の兄妹でしょう。

       この二人については、御野縣主神社の紹介に詳しいので、ここでは割愛します。

       が、簡単に言えば、沙本比売は、垂仁天皇の皇后ながら、謀反を企てる兄と夫と
       の間で揺れ動きます。
       一旦兄を選ぶも、夫への愛情冷め難く、夫に心の動揺を悟られてしまいます。
       そして、すべてを告白する姫に対し、夫・垂仁天皇は、「あなたは悪くない」と
       言うのです・・・。
       しかし、兄は謀反の心を翻さず、姫も、最終的には兄を選ぶのですね。

       姫とその兄が篭城した稲城は天皇軍の放った火で燃え上がります。

       燃え盛る火の中、姫は皇子を出産し、天皇へ託すのです。

       その皇子の名は、「本牟智和気(ホムチワケ)」。
       あごひげが伸びる年になっても、一言も発することができない皇子ながら、天皇
       は、最高の愛情を注ぐのです。

       最愛の妻・沙本比売の忘れ形見である、皇子であればこそ・・・。

       ・・・・・・・と、思ってました。
       が。

       もしも、沙本比売の一族が、女系の一族であるならば、話は別です。

       日子坐王と沙本之大闇見戸売の生んだ兄弟のうち、女性は、沙本比売一人。
       その子供は、一族の跡継ぎだったのじゃ?

       とはいえ、生まれた皇子は、男であり、跡継ぎとはいえなかったかもしれません
       が・・・。

       しかしまぁ、ただ一人の、沙本比売の子供という目でみればですね。
       本牟智和気は、人質だったんじゃ???

       人質が必要だったとすれば、まだこの若狭在住の一族は、天皇家にとって、強敵
       だったわけです。

       沙本毘古は、辛うじて倒したけれども、まだまだ戦いを挑んでくるであろう猛者
       が、若狭には、いた。

       だから、本牟智和気を手放せなかったのではないか?
       そんな想像が浮かんできます。

       それどころか!!

       沙本毘古・沙本比売兄妹の一族が「女系」なのならば!!

       ちょっとあんた!
       謀反をたくらんだのは、兄じゃなくて、妹の方じゃないのん?

       ・・・・・ということにも、なりはしますまいかね旦那さまっ!!

       としたら、沙本比売は、女の身で、単身敵の懐に飛び込んだ女スパイではなく、
       首領みずからが、敵陣中に潜り込んだということに!!!!!

       ひ・・・ひぇえええええ。

       将棋でいえば、王将でもって、「王手」をかけるみたいなもんですよ。
       なんちゅう命知らずな。さすが、女ボス!!!

       ・・・なんて考えるとはかなげな美女のイメージだった、沙本比売の虚像が、
       ぐわらぐわらと壊れますので、この辺でやめときます(T_T)

       沙本之大闇見戸売は、どんな女首長(決め着け)だったんでしょうね?

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