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止々呂美神社

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  祭  神:素戔嗚尊 稲田姫命 八王子神
  説  明:箕面市に、質問しましたところ、下記の回答を頂きました。
      「止々呂美地区には、元々神社が3社ありましたが、明治40年
       に3社が合祀されました。止々呂美神社はもともと『牛頭天王
       社』の社名で『素盞鳴噂・すさのおのみこと』が祭神でした。
       明治40年に『日枝神社』と『天満神社』を合祀した際に、社
       名を『止々呂美神社』に変更いたしました。
       現在の祭神は、素戔嗚尊、稲田姫命、八王子神ですが、境内社
       として『天満宮』と『大山津美大神』があります。」
  住  所:大阪府箕面市止々呂美
  電話番号:
  ひとこと:ファミリーで祀られている神社とみてよいでしょうね。
       何よりも、「止々呂美神社」。
       わ〜〜〜い、トトロだぁ。と喜んだ私は、アホでしょうか?

       しかし、この祭神の顔ぶれ。
       素戔嗚尊と稲田姫命の夫婦が祀られているのはよく見ますが、
       八王子神も一緒に祀られているのは、珍しいです。

       そもそも八王子神とは、素盞鳴尊の皇子と言われてはいますが、
       実際のところ、八王子の父親は、牛頭天王なんです。
       ただ、日本では、牛頭天王と素盞鳴尊が同一視されているので、
       八王子の父親=牛頭天王=素盞鳴尊ということで、素盞鳴尊の
       皇子=八王子という逆の等式も成り立ってるんですね。

       また、牛頭天王=素盞鳴尊説を裏付けるために、「八王子とは、
       天照大神と素盞鳴尊の誓約の際、化生した、五男三女神のこと
       である」なんていう、ちょっと無理な説明がされていることも
       あります。
       もしも、そうなのならば、この八王子は、天照大神と素盞鳴尊
       がそれぞれ生んだ子供ではなく、二神が交合してできた子供だ
       ということになっちゃいます。
       いや、実際はそうだったのかも知れませんけど。

       そんなわけで、櫛稲田姫と八王子の関係は、素盞鳴尊を通して
       のみ成り立つ、いわば、継子関係なんです。

       ちなみに櫛稲田姫と素盞鳴尊の間にできた子供は、八嶋士奴美
       神、一柱だけです。

       そんなわけで、下世話な私は、この神社のホームドラマを想像
       してしまうのです。

                  *****
       あるところに、それはそれはかわいい三人の姉妹と、それはそ
       れは賢い五人の兄弟を持つ夫婦がいました。
       しかし、母親は太陽、父親は風だったため、いつまでも一緒に
       暮らすことができず、父親は、八人の子供を連れて新しい奥さ
       んを貰うことにしました。
       新しい奥さんは、従順で、優しく、夫によく仕えましたが、妊
       娠した時から、少しずつ、前妻の子供たちを邪魔に思うように
       なりました。

       そこで、ある朝、八人の子供たちを呼んで、こんなことを言い
       つけたのです。
      「森の奥に小さな家があって、老婆が一人住んでいます。その老
       婆の持っている庭にりんごの木がありますから、そのりんごを
       もらってきてくれないかしら。つわりでとってもりんごが食べ
       たいの」

       実は、この老婆は悪い魔法使いだったのです。
       まず、次男のホヒが出かけました。
       ところがかれは、魔法使いに恋をし、帰ってきませんでした。
       次に、長男のオシホミミが出かけました。
       彼は、「森は騒がしくていやだ」と帰ってきてしまいました。
       本来、タケミカズチだとかフツヌシだとかいう友達が次に行く
       べきだ、と、6人の子供たちは言ったのですが、この物語には、
       タケミカズチもフツヌシも登場しないので、仕方なく、三男の
       アマツヒコネが出かけました。
       魔法使いはそれを見ると、わざと指輪を落としました。
       アマツヒコネは、その指輪を見ると、「美しい」と、拾って、
       自分の指に嵌めてしまったのです。
       すると・・・。なんということでしょう。アマツヒコネは、一
       匹の山羊に変わってしまいました。
       他の4人の子供たちも一緒です。
       クシナダママのところに帰って来たのはオシホミミだけ。
       まだ森に出かけていないのは、次女のイチキシマだけになって
       しまいました。(なぜ次女を残したかというと、イチキシマヒ
       メが一番人気が高いからです)

       賢く美しいイチキシマは、森で何かがあったのだとすぐに気付
       き、兄のオシホミミに「一人で行くのは危ないから、一緒にで
       かけましょう」と持ちかけます。

       かわいい妹には弱いオシホミミ。
      「それじゃあ」と一緒に出かけることにしました。

       魔法使いの家に近づくと、魔法使いは、オシホミミだけが見え
       ました。
       魔法使いも、年齢は食ってるとは言え女性なので、きれいな男
       がいると、周りが見えなくなるんですね。

       そこで、彼女は、今度は、「魔法使いに恋する指輪」をわざと
       落とします。そう、ホヒもこの指輪を嵌めてしまったんですね。

       きれいだけど、長男の甚六だったオシホミミは、なんの疑いも
       せず、そのきれいな指輪を拾い上げ、自分の指に嵌めてしまい、
       指輪のせいで、すっかり、家に帰ることなんか忘れて、魔法使
       いに夢中になっちゃいました。

       影に隠れて一部始終を見ていたイチキシマは、
      「指輪を嵌めちゃいけないのね」と悟りました。

       そこで、改めて魔法使いの家に近づいた時、魔法使いが落とし
       た指輪を踏んづけて、魔法使いに話しかけました。

      「あなたの庭のりんごが欲しいのです」
       魔法使いは、「ちぇ」と言いながらも、家に通しました。
       すると、5匹の山羊と魔法使いに夢中になった二人の兄がいる
       ではありませんか。

       イチキシマは、どうやったら兄や姉妹を助けられるか、と考え
       悩みます。

      「魔女を倒せばいいんだわ」

       魔女は、りんごの実を取ろうとしていました。
       イチキシマは、「ねぇ、おばあさん」と呼びかけます。
       すると、魔法使いは、ムッとして、返事もしません。

       そこで、イチキシマが、「ねぇ、きれいなお姉さん」と呼びか
       けてみると、すっかり機嫌をよくした魔法使いは、
      「どれでも、一番好きな実を取ってあげるわよ〜。お嬢ちゃん、
       どの実がいいのぉ♪」と尋ねてきました。

       チャンス!!
       イチキシマは、
      「そうねぇ。その高い枝になってる実がいいわ」
       と木に近づきます。
       魔法使いが、その実を取ろうと木をよじ登ると、イチキシマは、
      「ねぇ、きれいなお姉さん、そのまだ上にもっときれいな実があ
       ったわ。そちらにしてくれないかしら?」とお願いします。

       またまた機嫌をよくした魔法使いが、もっと木を上ると、
      「あら、まだその上にもっともっときれいな実が」
       と、どんどん木の上に、魔法使いを登らせました。
       そして、一番高い枝のりんごの実に手をかけたとき・・・えい
       っ!!
       イチキシマは、思いっきりりんごの木を揺さぶったのです。

       ドン!きゅ〜〜〜。
       魔法使いは、りんごの実を握り締めたまま、りんごの木か
       ら落ちて、伸びてしまいました。

       魔法使いの指を見ると、紫のきれいな大きな宝石のついた指輪
       をしています。
       その指輪を、イチキシマが、自分の指に嵌めてみるとあら不思
       議。魔法の力が、イチキシマに移ってしまいました。
       魔法使いの力の源は、この指輪だったのです。

       そこで、イチキシマは、大慌てで、兄や姉妹を人間に、もしく
       は正気に戻し、りんごを取って、クシナダママの元に戻りまし
       た。

       クシナダママは、内心「くっそ〜〜」と思いながらも、今更、
      「帰ってくるなって言う意味なんだよ」とも言えず、イチキシマ
       からりんごを受け取りました。

       そして、そのりんごを齧ると・・・。

       実は、そのりんごには、イチキシマが魔法をかけてあったので
       した。

       魔法のお蔭で、クシナダママは、あっというまに陣痛がおき、
       あっというまにヤシマジヌミを生み、あっというまに、ヤシマ
       ジヌミは成人し、あっというまに、お隣のオオヤマツミさんち
       のコノハナチルヤに恋をし、あっというまに婿養子に行ってし
       まいました。

       息子が婿養子に行ってしまうと、クシナダママは、また八人の
       継子がなんとなく可愛くなってきました。

       そんなわけで、スサノオパパとクシナダママと八人の子供達は、
       今ではすっかり仲良く暮らしているんですとさ。
       めでたしめでたし。

       あぁ、長かった。
       最後まで読んでくださってありがとうございました。

      <参考>
       教養文庫「フランス妖精民話集」植田祐次著 

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