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采女神社

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采女祭の日だけ内陣に入れる




  祭  神:采女命
  説  明:案内板によりますと、
      「奈良時代、天皇の寵愛が薄れた事を嘆いた采女(女官)が、
       猿沢の池に身を投げ、この霊を慰める為、祀られたのが采女
       神社の起こりとされる。入水した池を見るのは忍びないと、
       一夜のうちに御殿が池に背を向けたと伝えられる。例祭当日
       は、采女神社本殿にて祭典が執行され、中秋の名月の月明り
       が猿沢の池に映る頃、龍頭船に花扇を移し、鷁首船と共に、
       二艘の船は幽玄な雅楽の調べの中、猿沢の池を巡る。」
       のだそうです。
       例祭は、旧八月十五日だそうです。 
  住  所:奈良市橋本町
  電話番号:
  ひとこと:柵があり、しかも、鍵がかかっていました(^^ゞ

       しかし、今回、このなら町を散策していて、柵のある神社が
       やたらめったら多かったのであります。
       なぜ?

       多分、鹿さんにお入り願わないように、が正解みたいです。

       さて、この采女伝説ですが、奈良のシティマガジン
      「マイ奈良」
       によると、姫の名前は春姫となっています。

       そして、彼女を見初めたのは、天皇ではなく、葛城親王(橘
       諸兄)。
       しかも彼女は、葛城親王の寵が遠のいたことを嘆いたのでは
       ないのだそうです。
       猿沢の池への身投げと見えたのは、彼女の作戦で、「身投げ」
       したのは、彼女の衣装だけだったというのです。

       彼女には故郷・福島に思い人がいて、「外身」は、「身投げ」
       したけれど、「中身」は、故郷へ逃げ帰った、というのです。

       結局、都から逃れてきた春姫に世間は冷たく、今度は本当に
       井戸に身投げをするようなのですけれども。

       実際のところ、女官が入水したと伝えられる池や淵は、かな
       りに多いように見えます。

       伝説か、事実かはわからないけれど、この時代、女性が自害
       するには、入水が多かったんでしょうか?

       この時代、薬は高価なものだったろうし、自動車はないし、
       となると、入水になっちゃうんでしょうか。

       でも、それだけじゃ、ないと思います。

       水は、清めの力があります。
       穢れてしまったならば、水に清めてもらって、そして、あの
       世へ行きたいと思うのは自然なことに思います。

       炎に巻かれて死ぬのも、水に飲まれて死ぬのも、あの世に旅
       立つために身を清めてくれそうです。

       でも、炎ではあまりにも強烈すぎる。

       炎で亡くなる女官と言えば、思い出すのは、
       芥川龍之介の「地獄変」。

       この小説は、かなり複雑な物語です。と、私は思います。

       残酷な天才で嫌われ者の画家「猿の良秀」と、父親に似ず優
       しく美しい娘。
       そして、「大器」と言われる堀川の殿様の誰が本当にキーな
       のか、読み返すたびにわからなくなるのです。

       恋をしていたのは、誰か。つうか、恋に苦しんでいたのは、
       誰なのか。
       娘を炎で燃やさなくては気持ちに整理がつかなかった堀川の
       殿様か。
       炎の中に身を置くことに甘んじた娘か。

       語り手が、あまりにも客観的な眼で見ているため、読む度に
       見え方が違ってくるのです。

       それだから、芥川は最後に彼女に火をかけたのでしょう。

       でもこの采女は違います。
       恋をして、恋に破れたから、水に入ったんですね。

       水は彼女を清めてくれたでしょうか?

       燃やしちゃうのも、水に沈めちゃうのも、まぁ、解決の一つ
       の手段なんでしょうけれどねぇ。

       とりあえず、この采女や、地獄変の女官の時代よりは、今の
       方が、いろんな選択肢が選べるわけで。

       火の神様や、水の神様に頼るのはいっちばん最後でいいんじ
       ゃないか、と。
       神社紹介してる人間が言っちゃいけないかも知れないけど(^^ゞ

       ま、がんばりましょう。
       
       追記
       2023年9月28日
       采女祭の日に内陣に入れましたので、写真を追加しました。

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