shigoto

金山孫女神社

kanayamahime




  祭  神:金山毘売神 
  説  明:栞によりますと、
      「当神社はおよそ千年前の、平安時代に制定された、延喜式神名帳
       に登載された式内社であります。
       御祭神金山毘売神は、千二百余年前に書かれた、古事記によりま
       すと、伊邪那岐命・伊邪那美命、二柱の神様よりお生まれになっ
       たと記されてあります。
       この神様は古代には、場所は定かでありませんが、雁多小畑の東
       南、獄山の嶺に奉祀されておりましたが、中世時代に今の地に遷
       座されました。その間、八大金剛童子社、俗に山王さん、天王さ
       んなどと称されておりましたが、明治八年に今の社名に改められ
       ました。
       当地は古代には、鉱工業の栄えた所と思われ、その守護神として
       祀られたのがはじめではないかと思われます。
       御祭神金山の神一族は、獄山の峰に天降りまして、獄山、龍田山
       を中心とする最適の場所に、鉄鋼の業を導き給ひ、周近には金吹
       山、焼あと等、当時を偲ばせる地名もあり、遺物も発見されて居
       ります。集落北方の高地には、古代製鉄を営むには風を必要とし、
       風神をお祀りしたと思われる、風神降臨の聖地、御座峰が伝承さ
       れて居ます。
       又この地方の製鉄は文化発展の上において、鉄の重要性が増して
       きた弥生後期より応神河内玉朝に至るまで続けられ、多くの富を
       人々にお授け下さった御神徳は偉大であります。
       又この神様は火の神様との御関係深く炊事を司る婦人の健康と安
       全を、又金属業、農土木産業、並に火に携わる諸事の安全をお守
       り下さる神様であります。
       今も尚、当地氏子の守護神として、その信仰は脈々と伝えられ、
       又鉄工の守護神として、金属業を営む火と、又金融業を営む人達
       や、御神名、金山の名の通り黄金の山の如き富をお授け下さる神
       様である事を信じ、各地より参詣する人々も多く、毎年の例大祭
       には町内御旅所へと、御神幸在らせられ華やかな賑わいを見せて
       おります。」
       とあります。
  住  所:大阪府柏原市雁多尾畑4828
  電話番号:0729−79−0683
  ひとこと:金山毘売神は、伊邪那美命が、火の神、迦具土神を産んで、火傷
       に苦しんだ時、嘔吐物から化生した神だと言われています。
       嘔吐物は、溶鉄の表象なんですね。
       金山彦神と、同時に生まれているのですが、近所にある金山彦神
       社と比べて末社の多いこと。

       天照皇大神を祀った大神社。
       大山咋神を祀った大将軍神社。
       須佐之男命を祀った素盞鳴尊神社。
       火産霊神を祀った若宮神社。
       天押雲根命を祀った春日若宮神社。
       天之子屋根命を祀った春日神社。
       天菩比神を祀った天王神社。
       大己貴神を祀った貴船神社。
       志那都比古神を祀った透神社。

       と。なんと、9社もあります。

       兄ちゃんだか、夫だかの金山彦神は、末社ないのになぁ・・・。

       さて、こうやって見てみますと、この顔ぶれ。
       祭神名と、社名がなんとなく一致してない気がしませんか?

       通常、大将軍神社・天王神社の祭神は、素盞鳴尊が多い、と思い
       ます(絶対じゃありませんが)。
       それが、大将軍=大山咋神、天王=天菩比神。

       貴船神社は、水の神様(タカオカミ神)が、祭神であることがほ
       とんどです。

       若宮神社と称する神社は、名前の通り、誰かの皇子であるとか、
       そういう神様が祀られているのですが、この神社では、火産霊神。
       まさに、伊邪那美命の死因となった、迦具土神の異名です。

       とすると、無茶苦茶強引に言えば、この神社を奉祀した氏の人達
       にとっては、
       天王、つまり天から来た神様は、天菩比神。
       大将軍、つまり軍神は、大山咋神。
       貴船・・・ん〜〜〜、水の神様は、大己貴。
       迦具土の神の親が、金山姫。
       と考えていたことに?

       まず、天王・・・つまり天からやってきたのが、天菩比というの
       は??
       天菩比は、高天原の神々が、出雲の国譲りを迫る時、まず初めに
       送り出した、天照大神の皇子です。
       つまり、天菩比を天からやってきた王と呼ぶのは、出雲の民であ
       る、と言えないでしょうか?

       実際、古代、奥出雲のたたら製鉄で有名です。

       獄山の峰に天降った金山の神一族というのは、出雲からやってき
       たのじゃないか?というのは、特別違和感はないと思います。
       というより、私が知らないだけで、定説かもしれません。

       また、大将軍と言う名称は、金星のことを指す場合があります。
       陰陽道でいう八将神のうちの一柱で、太白星、つまり金星のこと
       なんです。

       ついでなので、この際、八将神全てについて書き出してみますと、
       
       太歳神 歳星(木星) 総光天王
       大将軍 太白星(金星) 魔王天王
       太陰神 鎮星(土星) 倶摩羅天王
       歳刑神 辰星(水星) 得達神天王
       歳破神 鎮星(土星) 良侍天王
       歳殺神 螢惑星(火星) 侍神相天王
       黄幡神 羅候星(?) 宅神相天王
       豹尾神 計都星(?) 蛇毒気神

       となっています。

       羅候星・計都星については、謎なんですが、不吉の象として描か
       れることが多く、羅候は、日食・月食のこと。計都は、彗星のこ
       とじゃないか?などといわれています。
       が、これらの神々よりも、荒々しいのが、この大将軍なんですね。
       なんといっても、「万物を殺伐する凶神」ですから。
       この方角を犯すことは、「三年殺し」つまり、三年後に死ぬこと
       と等しいと言う解説もあるくらいで・・・。いやいや恐ろしいで
       すね。
       ちなみに、この方位がどちらになるかは、毎年変わりますので、
       詳しくは、陰陽師に聞かないとわかりません(>_<)

       が、まぁ、その禍禍しい方位を「守護」したのが、大山咋神とい
       うことで、大山咋神が禍禍しいというわけではないでしょう。
       どちらかというと、強力な守護神である、と考えられていた、と
       言えるでしょうね。

       もしかしたら、この末社が創立された年、大将軍の方位に、大山
       咋神を祀る比叡山があたっていた・・・なんていう理由かも、知
       れません。

       が、「金」星の凶意を抑えるための末社がある、というように考
       えればちょっと面白いかもしれません。

       製鉄を司る神様に、その為に必要な火、火を起こすために必要な
       風、火を消すために必要な水の神々。
       そして、製鉄に付き纏う、凶意を緩和するための神。

       ほぼ完璧な顔揃えである、といえるかもしれませんね。

       ちなみに、金星(明けの明星)は、ラテン語で、「ルキフェル
      (ルシファー)」。
       言わずと知れた最高神に反逆した堕天使ですね。
       太陽(エホバ)が出てくる前にひときわ輝く金星を、ルシファー
       になぞらえたのかも知れませんが、金星を凶星と見ているところ
       が共通していて、少し面白いですね。

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