shigoto

棚機神社

tanabata




  祭  神:天棚機姫神 
  説  明:境内案内板を転記します。
      「旧岩橋太田の大和平野を見下ろすこの地は、古来祭祀を行っていた場所とし
       て『棚機の森』と呼ばれています。
       この辺りは、朝廷に献上する布を織る氏族が暮らす村で、五世紀頃、大陸か
       ら来た人が、それまでなかった最新の棚台付きの織り棚(棚機)と、絹など
       の高級織物を作る技術と共に、『牽牛と織女の七夕物語』や、中国の乞巧奠
       と呼ばれる、機織り技術の向上を願う祭りの儀式を、この村に最初に伝えた
       と言われています。
       昔、静かに鎮座するこの場所に、葛木倭文坐天羽雷命神社(現在は葛城氏加
       守に鎮座)があったとされ、現在は『タナバタさん』と呼ばれる石の祠が置
       かれ、織物の神様である天棚機姫神が祀られています。」
       
      「棚機物語
       大和に都があった頃、大陸から大勢の人達が贈り物を持って竹内峠を越えま
       した。
       その中に優れた織物の技術を持った美しい娘が、旅の疲れで重い病気にかか
       りましたが、親切な親子や村人の看病で元気になりました。
       娘はご恩返しに村人に機織りの技術を教えたので、當麻の里に広まり、青年
       との間に子も授かり、幸せな日々でした。
       『娘を都に召すように』
       との天皇の言葉が届けられましたので、『空に輝く星座の世界を織物にして
       献上いたします。その代わり都に行くことをお許しください』と願い出まし
       た。
       それから毎日、寝食を忘れて織続け、七日目の夜、織り上げた星座に包まれ
       るように息絶えました。
       る夜、家族の夢の中に娘が現れ、『私は一年に一度、七月七日の夜に棚機の
       森に行きます』と告げました。
       その話を聞いた村人たちは、娘の御に報いるためと、機織の上達を願って、
       お祭りを行うようになりました。
       数百年の後、一夜にして『當麻曼荼羅』を織り上げた織姫・中将姫はこの二
       人の末裔ではないでしょうか。
       平成二十四年六月三十日
       棚機神社保存会」
  住  所:奈良県葛城市太田1371番地
  電話番号:
  ひとこと:昔ここに祭られていたのは、天羽雷命だということですね。
       天羽雷命も、星と織物の両方に関係が深い神です。
       
       武神であり、雷の神だとも考えられる武甕雷男神が、歯の立たなかった神が
       いました。
       その名も、星の悪神・天香香背男。またの名を、天津甕星。
       しかし、天羽雷命は彼を軽々と鎮圧。
       彼は織物の神様なのに、なぜでしょう?
       
       そしてこの地と同じ、葛城の麓に鎮座する高鴨神社のご祭神は、阿遅?高日
       子根神。出雲の大国主命の息子です。
       彼の妹は、下照姫。歌の女神であり、織姫でもあります。
       下照姫は、高天原から天下った天稚彦を夫にするのですが、稚彦はこれをき
       っかけに出雲へ居ついてしまいます。それが原因で、高天原の使者に殺され
       てしまうんですね。
       
       天稚彦の葬儀に表れた阿遅?高日子根神を見て、遺族たちはびっくり。
       阿遅?高日子根神は、天稚彦とそっくりだったからです。
       
      「穢れた死者と間違えるとは!!」
       阿遅?高日子根神は怒って天へと駆け上っていくのですが、残された下照姫
       は、こんな歌で、兄の名を明かします。
       
      「天なるや 弟棚機の頸がせる 玉の御統、御統に 孔玉はや。
       み谷 二わたらす阿遅志貴高日子根の神そ。」
       
       御統は「みすまる」と読み、すばる星のことだとも言われます。
       
       ね?やはり織物と星の両方が登場するんですよ。
       
       そしてここ、七夕の森に伝わる昔話は、織物に星空を移すという、大胆かつ
       美しいものですよね。
       
       う〜ん……。
       星と織物の関係って、いったいなんなんでしょう?

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