青海亀(あおうみがめ)
伝 説:ある日、浦島子が船で釣りをしていると、一匹の亀がかかりました。
「亀では仕方がない」
と、海へ戻しましたが、何度糸を垂れても魚はかからず、ただ同じ亀がか
かります。
「これは何か意味があるのかもしれない」
そう考えた浦島子が、亀を船の上に置いておくと、その亀は美しい乙女に
変身したのです。
浦島子はこの乙女の家に招待されますが、そこには「昴」や「帚星」など
がいて、乙女の名前が「亀姫」であることがわかります。
二人はしばらくむつまじく暮らしましたが、浦島子は里が恋しくなります。
そこで、里帰りを願うと、亀姫は悲しそうにしながらも、小さな小箱を手
渡し、
「ここに戻ってきたいのならば、決して開けないでくださいね」
と念を押して、浦島子をもとの浜まで送り届けました。
ところが、里には見覚えのある家がまったくありませんでした。
なんと、300年もの時間が過ぎていたのです。
海の中と、人間の世界では時間の流れ方が違ったのでしょう。
落胆した浦島子は約束を忘れて小箱を開いてしまいました。
そして彼は人間界の時間に戻ります。
つまり、年老いてしまうわけです。
亀姫は、浦島子が箱を開けてしまったことを悲しみましたがどうすること
もできませんでした。
蛇 足:青海亀、赤海亀と言いますが、本当に青かったり赤かったりするわけでは
ないようです。
ただ、比較してみると、
「たしかに青っぽい」
「たしかに赤っぽい」
というのがわかる程度。
ただ、気性にはかなりの差があるらしく、アオウミガメの方がずっと温厚
なようです。
写真は、本州最南端・串本にある水族館で触らせてもらったアオウミガメ
の赤ちゃん。
本当におとなしくてかわいらしい子でした。
参考文献等:
情報提供者:丹後国風土記逸文